個々の原子のレベルからタンパク質と核酸を設計できる生成AIシステムRFdiffusion3の完全な設計方案が、このほど正式に公開された。さらに注目すべきは、このシステムで全新設計されたタンパク質が、実際の化学反応において期待どおりの機能をすでに発揮していることである。
米ワシントン大学、英オックスフォード大学、NVIDIAなどの機関からなる国際チームがこのシステムを構築した。個々の原子をモデル化でき、タンパク質と核酸の設計に特化しており、関連する成果は現地時間16日に国際学術誌『サイエンス』に掲載された。実はチームは早くも2025年12月3日にRFdiffusion3をオープンソース化しており、今回の論文はその設計原理を徹底的に解説したものである。
ノーベル賞受賞者が手がけ、前世代の10倍の速度
この研究の責任著者はワシントン大学教授のデイビッド・ベイカー氏である。同氏はコンピュータによるタンパク質構造予測の業績で2024年のノーベル化学賞を受賞しており、その代表的な成果の一つがタンパク質構造予測システムRosettaFoldである。RFdiffusion1(2023年)とRFdiffusion2(2025年)はいずれもRosettaFoldの構造予測ネットワークに基づいて生まれた。一方、RFdiffusion3はAlphaFold3のネットワークアーキテクチャを参考に改め、最大14個の原子で1つのアミノ酸を表現し、各原子の三次元座標を直接調整することで新しい構造を作り出す。
その得意技は「制約条件を伴う設計」である。研究者が反応に必要な原子の配置位置を指定するだけでなく、水素結合の形成条件や特定原子のタンパク質内部での分布範囲まで設定すると、システムはすべての制約を満たす構造を出力できる。チームは既存の酵素41個の活性部位を比較対象とし、37組でRFdiffusion3がRFdiffusion2を上回った。また、生成速度は前世代の約10倍である。このシステムで設計されたパラオキソン分解酵素とペプチド切断酵素は、いずれも実際の実験で期待どおりの反応を完遂した。「構造の予測」から「機能に応じた構造の作製」へと跨ぐこの原子ごとに彫琢するAIは、タンパク質工学をかつてない精度へと押し進めている。